こんにちは。Zianser編集部です。
「単価交渉」という言葉には、SES営業として独特の緊張感があります。断られる恐怖、関係が壊れるかもしれないという不安。今回は、初めて単価交渉に挑んだ日の失敗と、2度目で初めて成功した時の話をします。
最初の交渉は完全な準備不足だった
SES営業1年目の秋、上司から「Aさんの単価を上げてみろ」と言われました。
Aさんは40代のベテランJavaエンジニアで、当時の単価は月80万円。スキルと経験からすれば85〜90万円は十分狙えるレンジでした。
しかし私は、交渉の準備をほとんどしないままエンドクライアントの営業担当に連絡してしまいました。
「Aさんの単価なんですが、少し上げていただくことはできますか?」
返ってきた答えは一言。「難しいですね」。
以上、終わり。3秒で玉砕しました。
失敗の原因は「なぜ上げるべきか」を言えなかったこと
上司に報告すると、こう言われました。
「なんで上げるべきか、具体的な根拠を言えたか?」
答えられませんでした。私は「上げてほしい」という要望を伝えただけで、相手が「なるほど」と思えるような理由を何も準備していなかったのです。
2度目の準備:根拠を整えること
半年後、再挑戦の機会が来ました。今度は別のエンジニア・Bさん(30代、AWSエンジニア)の単価アップです。
今回は準備に2週間かけました。
用意した材料
① 市場単価の調査 AWSエンジニアの現在の市場相場を調べ、Bさんと同等のスキルセットで85〜95万円が相場であることを確認。当時のBさんの単価は80万円で、明らかに低めでした。
② 稼働実績のまとめ Bさんが参画してから1年間、無遅刻・無欠勤で稼働し、追加でAWS Lambdaを使った自動化を提案・実装していたことをまとめた資料を作りました。
③ 相手のメリットを言語化する 単価を上げることで「Bさんのモチベーションが保たれ、長期継続稼働が期待できる」という点を、相手の言葉で伝えられるよう準備しました。
交渉当日──「相場より低い」という事実が効いた
エンドクライアントの担当者との打ち合わせで、私はこう切り出しました。
「Bさんが参画してから1年、非常に安定した稼働をいただいています。一方で、現在の市場相場を調べたところ、同等スキルで85〜95万円のレンジが標準になっています。現状の80万円はBさんへの評価として少し低い水準かと思い、今回ご相談させていただきました」
担当者は少し間を置いて、こう言いました。
「確かに、Bさんには助かっています。少し社内で確認してみます」
1週間後、「83万円でお願いしたい」という回答が来ました。
交渉で学んだこと
初めての成功から学んだことは、交渉の本質は「お願い」ではなく「提案」だということです。
相手が「なるほど、それは合理的だ」と思えるような情報と根拠を持っていくこと。自分の都合ではなく、相手のメリットを軸に話すこと。
そして何より、「断られる恐怖」に負けて準備をさぼらないこと。
交渉は怖いものですが、準備さえ整えれば、思っているより拒絶されることは少ないと気づいた経験でした。
まとめ:単価交渉の成功率を上げる3つの準備
- 市場相場の調査 — 同等スキルの現在の相場を数字で把握する
- 実績の可視化 — 稼働期間・追加貢献・スキルアップを具体的にまとめる
- 相手のメリットの言語化 — 「なぜ上げるべきか」を相手目線で説明できるようにする