SESエンジニアとして働く上で、「自分の単価は適正なのか?」「どうすれば単価を上げられるのか?」という疑問を持つ方は非常に多いです。
この記事では、SES業界に10年以上携わった経験をもとに、2026年現在の単価相場をスキル・年齢・経験年数別に解説します。また、単価を上げるための具体的なアクションも紹介します。
SES単価の基本的な仕組み
SES(システムエンジニアリングサービス)の単価とは、エンジニアが1ヶ月間稼働することに対して、エンドクライアントまたは上流企業が支払う金額のことです。
単価の構造:
エンドクライアントが支払う単価(例:100万円)
↓
中間企業のマージン(例:10〜20万円)
↓
SES会社が受け取る単価(例:80〜90万円)
↓
SES会社のマージン(例:20〜30%)
↓
エンジニアの月給(例:56〜72万円)
単価はエンジニア個人の給与ではなく、所属会社がクライアントに請求する月額稼働費用です。エンジニアの手取り給与は、この単価からマージン(会社の取り分)を引いた金額が還元されます。
一般的なSES会社のマージン率は20〜35%程度ですが、「高還元率」を謳う会社では20%以下のケースもあります。
スキル別の単価相場(2026年現在)
バックエンドエンジニア
| スキル | 経験年数 | 単価相場 | 市場需要 |
|---|---|---|---|
| Java (Spring Boot) | 3〜5年 | 70〜85万円 | 高い |
| Java (Spring Boot) | 5年以上 | 80〜100万円 | 非常に高い |
| Python (Django/FastAPI) | 3〜5年 | 72〜88万円 | 高い |
| Ruby on Rails | 3〜5年 | 65〜80万円 | 中程度 |
| PHP (Laravel) | 3〜5年 | 60〜75万円 | 中程度 |
| Go言語 | 3年以上 | 80〜100万円 | 高い |
| Kotlin (Android) | 3年以上 | 70〜90万円 | 高い |
フロントエンドエンジニア
| スキル | 経験年数 | 単価相場 | 市場需要 |
|---|---|---|---|
| React | 3〜5年 | 68〜85万円 | 非常に高い |
| Vue.js | 3〜5年 | 65〜80万円 | 高い |
| TypeScript全般 | 3年以上 | 70〜90万円 | 非常に高い |
| Angular | 3年以上 | 65〜80万円 | 中程度 |
| Next.js | 2年以上 | 70〜90万円 | 高い |
インフラ・クラウドエンジニア
| スキル | 経験年数 | 単価相場 | 市場需要 |
|---|---|---|---|
| AWS全般 | 3〜5年 | 75〜95万円 | 非常に高い |
| AWS + Terraform | 3年以上 | 85〜110万円 | 非常に高い |
| GCP | 3年以上 | 80〜100万円 | 高い |
| Azure | 3年以上 | 75〜95万円 | 高い |
| Kubernetes | 3年以上 | 85〜110万円 | 非常に高い |
| ネットワーク(Cisco等) | 5年以上 | 65〜85万円 | 中程度 |
データ・AI系エンジニア
| スキル | 経験年数 | 単価相場 | 市場需要 |
|---|---|---|---|
| データエンジニア(Spark/Hadoop) | 3年以上 | 90〜120万円 | 非常に高い |
| 機械学習エンジニア | 3年以上 | 95〜130万円 | 非常に高い |
| MLOpsエンジニア | 2年以上 | 100〜130万円 | 非常に高い |
| データアナリスト | 3年以上 | 70〜90万円 | 高い |
PM・PLクラス
| 役割 | 経験年数 | 単価相場 | 市場需要 |
|---|---|---|---|
| PL(チームリード) | 3〜5年 | 80〜100万円 | 高い |
| PM(5〜10名規模) | 5年以上 | 95〜120万円 | 高い |
| PM(大規模PJ) | 8年以上 | 110〜140万円 | 中程度 |
| スクラムマスター | 3年以上 | 90〜120万円 | 高い |
年齢別の単価傾向
| 年齢層 | 主な単価帯 | 特徴 |
|---|---|---|
| 20代前半 | 40〜60万円 | 未経験〜1〜2年目。成長余地が評価ポイント |
| 20代後半 | 55〜80万円 | 実力が反映され始める。スキルの幅が大事 |
| 30代前半 | 70〜95万円 | スペシャリストとして評価。専門性が単価を左右 |
| 30代後半 | 75〜110万円 | PM・PL経験が単価を押し上げる。マネジメント力が差別化 |
| 40代以上 | 80〜130万円 | 経験・マネジメント力で高単価。特定業種の深い知識も武器 |
年齢よりもスキルと経験年数が単価に影響することが多いですが、30代後半以降は「マネジメントができるか」「設計・レビューができるか」という上流工程への対応力が評価されます。
経験年数別の標準的な単価ラダー
Java系エンジニアを例に、経験年数と単価の目安を示します(設計・実装・テスト全対応の場合)。
| 経験年数 | 単価の目安 | 求められるスキルレベル |
|---|---|---|
| 0〜1年 | 35〜50万円 | コーディング基礎、簡単な機能実装 |
| 1〜3年 | 50〜65万円 | 単独での機能実装、テストコード作成 |
| 3〜5年 | 65〜80万円 | 設計への参加、コードレビュー |
| 5〜8年 | 80〜95万円 | 設計リード、チームの技術判断 |
| 8年以上 | 90〜120万円 | アーキテクチャ設計、PL/PMへの移行 |
単価を上げるための3つのアクション
1. 資格取得でスキルを証明する
AWS SAA(AWS Solutions Architect Associate)・PMP・情報処理技術者試験などは、単価交渉の場で「スキルの証明」として機能します。
単価アップ効果が大きい資格:
- AWS SAP(Professional): +5〜15万円
- Kubernetes CKA: +10〜15万円
- PMP(プロジェクトマネジメント): +10〜20万円
- 情報処理安全確保支援士: +5〜10万円
2. 上流工程の経験を積む
設計・レビュー・顧客折衝などの上流工程の経験があると、同じ技術スタックでも単価が10〜20万円上がるケースがあります。
下流(コーディング・テスト)だけでなく、設計書のレビューや技術的な提案に積極的に参加することを意識しましょう。
3. 複数領域のスキルを持つ
「バックエンド + インフラ(AWS)」「フロントエンド + バックエンド(フルスタック)」のようにクロスドメインのスキルがある人材は、市場価値が高くなります。
特に現在市場価値が高い組み合わせ:
- バックエンド + クラウド(AWS): Webサービスの主要スタック
- Java + 金融業務知識: 高単価の金融系案件に強い
- インフラ + セキュリティ: クラウドセキュリティの需要増
- 開発 + AI/機械学習: 今後最も伸びが期待される領域
単価交渉の時期とタイミング
単価交渉のベストタイミングは以下の通りです。
| タイミング | 交渉のしやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| 契約更新時 | ★★★★★ | 継続するかどうかの交渉になるため最も効果的 |
| 新規資格取得後 | ★★★★☆ | スキルアップの証拠があるため根拠が明確 |
| プロジェクトに大きな貢献をした後 | ★★★★☆ | 実績として示せる |
| 市場の単価相場が上がった時 | ★★★☆☆ | 外部環境の変化を根拠にできる |
| 他社からオファーがある時 | ★★★☆☆ | 競合他社の存在が交渉力になる |
まとめ
2026年の単価相場は、クラウド・AI関連スキルを持つエンジニアの需要が特に高く、AWS・Kubernetes・機械学習エンジニアは相場を上回る単価を得られるケースが増えています。
自分の単価が市場相場と比べてどうかを定期的に確認し、スキルアップと単価交渉を積極的に行うことが、キャリア形成において最も重要なことです。
SES会社で働く場合は、還元率(マージン率)も必ず確認しましょう。単価が高くても還元率が低ければ、手取りが増えないという状況になります。透明性のある会社と組むことも、エンジニアのキャリア戦略において重要な選択です。