SES(システムエンジニアリングサービス)営業において、「ビジネスパートナー(BP)との関係をいかに管理するか」は、会社の売上に直結する最重要課題です。
しかし多くのSES会社では、BPリストがExcelやスプレッドシートで散在しており、「誰がどのBPとどんな関係を持っているか」が属人化してしまっています。この記事では、SES営業歴10年以上の経験をもとに、BPリスト管理の基本から実践的な効率化手法まで、体系的に解説します。

ビジネスパートナー(BP)管理の重要性
SES営業において、ビジネスパートナー(以下BP)とは、案件情報・要員情報を相互に共有し合う他のSES会社やフリーランスエージェントのことです。
BPとの関係はSES営業の命綱です。良質なBPリストを持つ会社は、案件空白期間を最小限に抑えられ、良いエンジニアを素早く確保できます。
BPの主な役割
- 案件ソース: クライアント企業の新着案件情報を提供してくれる
- 要員ソース: 自社で不足しているスキルを持つエンジニアを紹介してくれる
- ビジネスの安定化: 複数のBPと関係を持つことでリスク分散になる
- 業界情報: 単価相場や市場トレンドを現場レベルで把握できる
特にSESビジネスは「情報速度がすべて」と言っても過言ではありません。案件情報が出回った瞬間に複数のBPから要員提案が届き、エンドクライアントは最も良いマッチングを選びます。BPとの関係値が高い会社ほど、鮮度の高い情報を優先的に受け取れるのです。
BPリストに含めるべき情報
最低限、以下の情報をBPごとに管理しましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 正式名称 |
| 担当者名 | 名前・部署 |
| メールアドレス | 配信用・連絡用 |
| 電話番号 | 緊急連絡用 |
| 得意分野 | Java系・インフラ系・PM など |
| 商流 | 何次受けまで対応可能か |
| 配信可否 | 配信停止希望の有無 |
| 最終連絡日 | 関係の新鮮度確認 |
| 成立件数 | 過去の取引実績 |
| メモ | 商流・信頼度・要注意事項 |
「信頼度スコア」を導入する
単なる連絡先の管理に留まらず、各BPに信頼度スコア(A〜C評価など)を設定することを強くおすすめします。
- Aランク: 返信率が高く、紹介案件・要員の質が高い。月複数回の取引実績がある
- Bランク: 返信はあるが成約率が低め。月1回程度の取引
- Cランク: 返信が遅い・情報の質が低い。要注意先またはフォローが必要な先
このスコアを使って配信リストを優先順位付けすることで、限られた時間でROIを最大化できます。
BPリストの整理術
タグ・カテゴリで分類する
BPを以下のような軸で分類すると、必要な時に素早く絞り込めます。
- 得意分野: Web系、インフラ、AI/ML、金融系、組み込み
- 規模: 大手SIer、中堅SES、個人エージェント
- 信頼度: A(高頻度取引)/ B(通常)/ C(要注意)
- 地域: 東京、大阪、名古屋、リモート特化
- 対応可能な商流: プライム・1次・2次・3次
定期的なクレンジング
BPリストは放置すると「死に体」になります。以下のサイクルでメンテナンスしましょう。
- 月次: 返信率の低いBPにピンポン(生存確認)
- 四半期: メールアドレスのエラー(バウンス)を削除
- 半年: 長期間連絡がないBPを「休眠リスト」に移動
- 年次: 休眠リストを見直し、廃業・担当変更がないか確認
バウンスメールへの対応を怠らない
一括配信において、バウンス(届かなかったメール)の管理は非常に重要です。バウンスアドレスに送り続けると、ドメインの評判(レピュテーション)が下がり、他のBPへの配信も届きにくくなります。
バウンスが発生したら:
- 即座にリストから除外(または「配信停止」フラグを立てる)
- 別の担当者のアドレスがわかれば更新する
- 企業自体が廃業していないか確認する
新規BPの開拓方法
既存のBPだけに依存するのは危険です。常に新規開拓を続けましょう。
オンラインでの開拓
- LinkedInでの繋がり依頼: プロフィールを充実させた上でSES営業職の人材に繋がり依頼を送る
- SES営業コミュニティへの参加: Slack・Facebook等のオープンコミュニティで顔を知ってもらう
- メーリングリスト(業界の掲示板)への登録: IT系の求人掲示板・業者向けコミュニティ
- 展示会・セミナーでの名刺交換: IT系の展示会は業界関係者が多く、一度で多くのBPと接点が持てる
紹介経由での開拓
既存の信頼できるBPからの紹介は、最も質の高いBP獲得ルートです。案件成立後に「他にいいBPさんいますか?」と一言聞くだけで繋がりが広がります。
紹介依頼のタイミング:
- 案件が成立して感謝の連絡をした後
- 長期取引でお互いの信頼が深まった後
- 新しいジャンルの案件を扱うようになった時
既存リストの「掘り起こし」
実は最も効果的なBP開拓は、眠っているリストの掘り起こしです。半年以上連絡していないBPに「久しぶりの挨拶メール」を送ると、意外と反応が得られることがあります。
件名:ご挨拶 / [あなたの会社名]
いつもお世話になっております。
○○株式会社の山田です。
しばらくご連絡できておらず失礼いたしました。
本日は近況のご報告とともに、現在弊社で保有している案件・要員情報をお送りさせていただきます。
(以下、案件・要員情報を記載)
今後ともよろしくお願いいたします。
BPとの関係維持のコツ
双方向の情報共有を意識する
BPとの関係は「もらうだけ」では長続きしません。自分の側からも積極的に案件・要員情報を共有することで、良い情報が返ってくる関係になります。
情報共有の基本ルール:
- 自社に合わなかった案件でも、BPには「今のラインナップと合わない案件」をフィードバックする
- 面談結果はBPに速やかに共有する(合否だけでなく、理由も伝えると信頼が上がる)
- 月に1回は「今月の保有案件・要員リスト」を全BPに配信する
返信は即レス
BPから案件・要員の打診がきたら、2時間以内の返信を目指しましょう。SES業界はスピード勝負。「あそこは返信が早い」という評判が、優先的に情報を回してもらえる関係につながります。
特に朝9時〜10時のメールに対して、午前中に返信できる体制を作ることが重要です。
感謝を忘れない
案件が成立したら、担当者への一言御礼を欠かさずに。長期的な信頼関係の積み重ねがSES営業の財産になります。
成立後にできる気遣い:
- 「おかげさまで先方との面談が決まりました」という中間報告
- 「無事に稼働開始しました。ありがとうございます」という報告
- 長期稼働が続いている場合、「引き続きよろしくお願いします」という定期連絡
BPリスト管理ツールの選び方
Excelでの管理は手軽ですが、規模が大きくなると限界があります。
| ツール | 向いている規模 | 特徴 |
|---|---|---|
| Excel / Google スプレッドシート | 〜100社 | 初期は十分、無料 |
| 専用SESツール | 100〜1000社 | 配信機能が統合されて効率的 |
| CRM(Salesforce等) | 1000社〜 | 大規模管理・分析向き |
Zianserで管理する場合の特徴
Zianserでは、ビジネスパートナーリストの管理と一括メール配信を一体化しており、以下のことが可能です。
- リストを更新するだけで翌日の配信に即反映
- 配信停止フラグの自動管理(配信停止申請を受けたBPへの誤送信を防止)
- バウンス履歴の管理
- タグによる絞り込み配信
まとめ:BPリスト管理が売上を左右する
BPリストの質と量が、SES営業の稼働率に直結します。
具体的なアクションとして、今日から以下の3つを始めてみてください。
- 既存リストに信頼度スコア(A/B/C)を設定する → 配信の優先順位が明確になる
- バウンスメールを即日除外するルールを作る → ドメインレピュテーションを守る
- 月1回の「掘り起こしメール」を習慣化する → 眠っているBPを再活性化する
定期的なメンテナンス・新規開拓・即レスの習慣を続けることで、案件ゼロの状態を防ぎ、安定した収益を維持できます。